V = IR さえ覚えれば、I や R を求める式はその場で作れます。公式を 3 つ丸暗記するより、移項のしかたを 1 回で理解するほうが速く確実です。
式の変形の考え方
等式は左右が釣り合った天秤です。両辺に同じ操作をするかぎり、釣り合いは崩れません。V = I × R の両辺を R で割れば V/R = I となり、I = V/R が得られます。同じく I で割れば R = V/I。掛け算でつながっているものは割り算で反対側へ、足し算でつながっているものは引き算で反対側へ移る、と覚えます。
試験ではこう出る
オームの法則そのものを問う問題のほか、電力 P = V × I や電力量 W = P × t も同じ形です。P = VI は V = P/I、I = P/V に変形でき、V = IR を代入すれば P = I²R や P = V²/R も導けます。この 2 つは電力損失の問題で頻出です。なお P = VI がそのまま使えるのは直流、または交流で負荷が抵抗だけの場合で、一般の単相交流の有効電力は P = VIcosθ です。電力量は W = Pt で、P を W、t を時間(h)とすれば Wh になります。
計算してみよう
100V の電源に 20Ω の抵抗をつないだときの電流は。 I = V/R = 100 ÷ 20 = 5A。 電線 1 本の抵抗が 0.1Ω、負荷電流 15A の単相 2 線式の電力損失は。 電線は往復 2 本なので P = 2 × I²R = 2 × 15² × 0.1 = 2 × 22.5 = 45W。 200V の電源に 50Ω をつないだときの消費電力は。 P = V²/R = 200² ÷ 50 = 40000 ÷ 50 = 800W。
つまずきポイント
単相 2 線式の電力損失で、電線が往復 2 本であることを忘れて半分の答えを出す誤りが目立ちます。また P = I²R に代入するとき I を 2 乗し忘れる、V²/R で V を 2 乗し忘れる、というのもよくあるミスです。時間の単位にも注意が必要で、電力量(Wh・kWh)は時間を h、熱量(J)は時間を秒で計算します。100W を 1 時間使えば 100Wh、同じく 3,600 秒ぶんの熱量なら 360,000J です。
もう一歩:比で解く
「10V を加えたら 5A 流れた。20V ではいくら流れるか」という問題は、抵抗が変わらないので電流は電圧に比例します。電圧が 2 倍なら電流も 2 倍で 10A。わざわざ R = 10/5 = 2Ω を求めてから I = 20/2 = 10A としなくても、比だけで即答できます。式の変形に慣れたら、比で近道できる問題を見分けられるようにしておくと時間を稼げます。