電力の公式は P = VI、P = I²R、P = V²/R の 3 つ。どれも同じことを言い換えただけなので、問題文で分かっている量に合わせて選べば計算が 1 回で済みます。
3 つの公式の関係
電力 P[W] は電圧と電流の積で P = V × I。ここにオームの法則 V = IR を入れると P = I²R、I = V/R を入れると P = V²/R になります。電流と抵抗が分かっていれば I²R、電圧と抵抗が分かっていれば V²/R、と使い分けます。これらは直流、または交流で負荷が抵抗だけの場合の式です。
電力損失の計算
電線にも抵抗があるので、電流が流れると熱になって失われる電力があります。これが電力損失で、電線 1 本の抵抗を r、電流を I とすると、1 本あたり I²r。単相 2 線式は電線 2 本ぶんで 2I²r。三相 3 線式は、各線の抵抗と電流が等しい平衡した状態なら 3 本ぶんで 3I²r です。単相 3 線式は、両側の負荷が平衡していて中性線に電流が流れなければ 2I²r。平衡していないときは、線ごとの I²r を足し合わせます。
計算してみよう
電線 1 本の抵抗が 0.1Ω、負荷電流 15A の単相 2 線式の電力損失は。 2 × 15² × 0.1 = 2 × 225 × 0.1 = 45W。 100V で 2kW の電熱器の抵抗は。 P = V²/R から R = V²/P = 100² ÷ 2000 = 5Ω。 この電熱器を 5 時間使ったときの電力量は。 2kW × 5h = 10kWh。
交流での注意
コイルを含む負荷(電動機など)では、電圧と電流の積がそのまま有効な電力にはなりません。単相の有効電力は P = VIcosθ、平衡三相なら P = √3VIcosθ(V は線間電圧、I は線電流)。交流の V と I は実効値で、cosθ が力率です。力率を掛ける前の値を皮相電力といい、単相は S = VI、平衡三相は S = √3VI、単位は V·A。有効電力の W と区別します。
つまずきポイント
2 乗のし忘れと、電線の本数の数え忘れが二大ミスです。P = V²/R からは「同じ抵抗にかかる電圧が半分になると電力は 1/4 になる」ことも読み取れます。半分ではありません。また、電力(W)は瞬間の量、電力量(Wh)はそれに時間を掛けた量です。問われているのがどちらかを、単位で確かめてください。